CORRUPTED "Garten Der Unbewusstheit" CD
CORRUPTED "Garten Der Unbewusstheit" CD 1500 Yen
その意識は幾多もの困難に傷付き疲弊した肉体を離れ、自らを癒すかの様にゆっくりと、無限と言う名の泉に同化してゆくのであった。それは無限であり永遠。永遠であり死の象徴。死の象徴であり創造の源泉。創造の源泉に端を発する作品そのものはそれを創造した肉体が滅んだ後もいつまでも残り続け更に多くの新しい生を前に再生し続けるであろう。そんな我々の生の現実は時を経るに従い実に物質と、時間と、カネと、科学ゆう名の悪魔によってそのイマジネイティヴな魅力を増々失いつつある。それは嘘に満ちている。病める狂おしい魂は今や完全に死を指示する。ひとしお「生」を愛するが故に。
CORRUPTEDはそんな生の欺瞞を暴く事に音楽を通して常に挑戦している希有な存在であると思う。実に4作目のフル・アルバムにあたる本作のタイトルは"Garten Der Unbewusstheit"、英訳すると"garden of unconsciousness" つまり日本語に訳せば「無意識の庭園」とゆうような意味になる。全3曲63分が収録されたオリジナルCORRUPTED最後のアルバム、とのことである。しかし「無意識の庭園」はずっと以前から、まだCORRUPTEDが初期のハードコアなインパクトを放っていた頃から既に存在していたのだと思う。何故そう感じるのかはわからない。ただひとついえる事はそこで起こっていたのは進歩でもなく、発展でもなく、探求であり、回帰であった、とゆうことだ。それゆえか本作のCORRUPTEDのビートはこれまでになく緩やかで優しく、透明感に満ちている。逆説的ともいえるこのバンドの進化形態はしかし、実際は膨大に重ねたフィードバックノイズやギターの倍音を丁寧に扱い、時間をかけて立体的な建造物になるようにミックスしてゆく、とゆう気の遠くなるようなスタジオワークの結果に他ならない。全3曲とはいえ実際は組曲形式に構成された約1時間に及ぶこのアルバムを体験し実に驚かされる事は我々の普段の時間感覚を完全に超越している点にあると思う。
1分1秒その瞬間が無限に感じられ60分360秒が一瞬に感ぜられるこの超越した感覚はまさに音楽を通した物質と生からの解放の感覚ともいえよう。来るべき時代に向けまずはこの作品を体験し、この「与えられた生」の欺瞞を暴こうではないか。最後にご存知の方も多いとは思うが1994年の結成以来実に17年余りにも在籍していたヴォーカルのHeviとギターのTalbotは本作を最後に脱退し、現在CORRUPTEDは新ヴォーカリストとしてex- FREEDOM, DIABOLIC ARTのTaikiを新ヴォーカリストとして迎え入れまた新たな未知への一歩を踏み出そうとしている。更なる無意識の庭園に我々を誘うかのように...
(text by jacky crustwar)